では、問題から解いてみましょう。
問題
(1)水平面からθだけ傾いた斜面上に、質量mの物体を置いたが、滑り落ちなかった。静止摩擦係数をμ、動摩擦係数をμ`、重力加速度の大きさをgとして、以下の問いに答えよ。
①図1に示すように、物体の重心に上向きの力を加え、力を徐々に大きくして引き上げようとした。加えた力の方向と斜面とのなす角はαであった。物体が斜面に沿って上向きに動き始めた時の力の大きさはいくらか。ただし、この操作で、物体は斜面から浮き上がることはなかったものとする。
次に、図2に示すように、物体の重心に斜面の等高線に平行な横向きの力を加え、力を徐々に大きくした。
②動き始めた時の加えた力の大きさはいくらか。
③ ②で動き始める時の力を物体の重心に加え続ける。物体の運動する方向はどうなるか。運動方向と等高線とのなす角をφとし、tanφを求めよ。
④加えた力をそのまま持続するとき、加えた瞬間から時間がtだけ通過した間に物体が斜面上を進んだ距離を求めよ。
(2)天井と床の間に突っ張らせた棒を重さ3Wのサルが登っていく。棒は均質で、長さをL、重さをW、棒が水平面となす角度をθ(0°<θ<90°)とする。
床から\(\frac{2}{3}\)の地点まで猿が登った時に、天井と床との接触点が同時に滑りを起こし、棒は倒れた。tanθの値はいくらか。ただし、床と棒の間の静止摩擦係数を\(\frac{1}{2}\)、天井と棒の間の静止摩擦係数を\(\frac{4}{5}\)とし、床も天井も水平であるとする。
(3)図のように2辺の長さがa,b、質量Mの直角三角形の板があり、ながさaの辺が水平、長さbの辺が鉛直となるように、直角三角形の頂点を原点Oに置いてある。板は厚さ一定の一様な材質であり、変形したり水平面にめり込んだりすることはない。
以下の実験(ア)(イ)のように高さh(y=h)の位置Pに力を作用させる。
(ア)x軸方向の正の向きに力(大きさF)を加え、Fを徐々に大きくしたところ、Fがある値を超えたときに板はx軸方向の正の向きにその姿勢のまま滑り始めた。
(イ)x軸方向の負の向きに力(大きさF)を加え、Fを徐々に大きくしたところ、Fがある値を超えた時に板は原点Oを中心として左に傾いた。
板と水平面との間の静止摩擦係数をμ、重力加速度の大きさをgとして、以下の問いに答えよ。
(1)実験(ア)(イ)から、板と水平面との間の静止摩擦係数μがとりえる範囲を求めよ。
(2)実験(イ)において、板が原点Oを中心として傾き始めた後、左向きの外力を加えながらゆっくりと板の傾きを変えていったところ、傾きの角度がある値θを超えたところでいたはずの左方向に倒れた。tanθの値を求めよ。
解答
(1)
(2)
(3)
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